IR担当者の困りごと
不可欠なキーワード、
「
持続可能
」
経済を優先するばかりで、環境や社会が軽視されてきた現状を変えようとする動きが顕著です。
たとえば、喫緊の課題として世界が注目する「気候変動」や「カーボンニュートラル」への取り組み、「人的資本」の開示義務化、児童・強制労働ほか「人権」の問題をふくむ経営リスクの多様化など、従来は財務情報が中心だったIRは、非財務情報の開示が加わったことで、取り扱う業務のすそ野が広がったため、IR部門の人的リソースを圧迫しています。
また、2022年の「東京証券取引所の市場再編」により、4つの市場が3つに再編され、プライム・スタンダード・グロース市場となり、それぞれの位置づけが明確になりました。
これに「コーポレートガバナンスコードの改訂」も加わり、サステナビリティ対応への要求が高まっています。
特にプライム市場を選択した企業にとっては、今後も基準が引き上げられる可能性があるため、ESGに関する開示義務のハードルは、ますます高くなることが予想されます。
ますます増加する
IR/CSR関連の制作物
ここ最近、「任意」にもかかわらず、上場企業が制作する開示資料は増加する傾向にあります。
この背景には、財務情報だけでなく、非財務情報の開示を求める声の高まりがあります。
ところが、株主や投資家の開示要求に応えようとするあまり、必要以上に制作物が増え、内容が重複するだけでなく、担当者や支援会社によってトンマナがばらばらになるなど、読み手にとって、かえって混乱を招いていることも否定できません。
これには、IRに関連するすべての制作物を棚卸しし、それぞれの役割を再考する必要があります。
制作物を整理・統合する
シンプルに、3つの制作物に集約する
ファクトブック、アニュアルレポート、サステナビリティ報告書、SDGsの普及で広がった統合報告書、さらに、インターネットや動画などデジタル媒体の台頭により、制作物は増加の一途。
メディアの増加やニーズの多様化によって、IR担当者にとって業務負担は増えるばかりです。
これを整理するには、目的と対象を定め、思い切って制作物をシンプルに絞り込むべきです。
PCやスマホの普及、情報の更新頻度やスピード感を考えると、今後の情報発信は、コーポレートサイトのIR情報が中心になっていくはず。
そのため、Webの充実を最優先にすべきです。
ただし、WebサイトはPULL型メディアゆえ、株主や投資家が頻繁に訪問してくれればよいのですが、これは容易ではなく、また、期待し過ぎるべきではありません。
能動的な情報発信は、印刷物が適しています。
ただし、思い切って制作物をしぼり込み、機関投資家むけの「統合報告書」、個人株主むけの「株主通信」の2冊にしてはいかがでしょうか。
前者は、企業ブランドや価値創造ストーリーを中心に、全体像をパッケージで伝えられる一冊に。
後者は、従来どおり年1~2回、定期的な株主との接点の維持と長期投資をうながす一冊とし、安定株主の確保を目的として発行します。
つまり、コーポレートサイトのIR情報、統合報告書、株主通信の3つのツールに集約するわけです。
■「従来」のラインアップ
■「今後」のラインアップ
統合報告書を
発行する意義
社会課題の解決そのものがビジネスに
これまで企業は、事業による利益を雇用創出や納税によって社会に還元し、経済価値を生み出す存在でした。一方、経済至上主義により、環境や社会の問題が露呈しています。
いま企業に求められているのは、経済活動だけでなく、環境や社会との調和を図ることであり、サステナブルな観点でのESGに配慮した経営。
これを伝えるのに最適なのが統合報告書といえます。
ESGの歴史をひも解くと、CSRという概念が広がったのは1990年代です。
当時、企業のCSR活動の大半は、寄付やボランティアなど本業とは無関係なものでした。
そして2000年代にESGが登場。
「経済だけでなく環境・社会への貢献を両立する企業を大切にする」という投資家の思いを反映した、当時としては斬新な考え方でした。
そして2010年代に登場したCSVは、これまでの慈善活動を中心とするCSRとはちがい、本業そのもので社会課題を解決することにより、企業が持続的に成長するという考え方です。
一方、各企業でCSVを追求すべく、社会課題を見つけ出すというのは困難でした。
そんななか、救世主のような形で登場したのがSDGsでした。
その後、SDGsの世界的な広がりやESG投資の加速なども後押しし、社会課題を解決に導くことが、持続的成長につながると考える企業が増えてきたのです。
■ESGの歴史
あらゆるステークホルダーを対象に
ばらばらに存在する資本をつなぎ合わせ、中長期に価値を生み出しつづけるストーリーを描く─ これが、統合思考の基本的な考え方です。
統合思考には、売上や利益など財務だけでなく、知的資産やESGといった非財務が欠かせません。
そのため、統合報告書を発行するには、幅広い視点で企業価値を考える必要があります。
統合報告書を発行することにより、
1 企業全体を俯瞰できるツールとして、社内外の共通言語ができる
2 あらゆるステークホルダーとの接点ができ、対話が深まる
3 一冊で企業価値を伝えられるので、外部開示資料の軸ができる
という、大きく3つのメリットがあります。
そのため機関投資家を中心に、株主、従業員、取引先、就職希望者など対象読者も広がっています。
制作物のつくり方
発注先が限られる
IRの制作物
IR関連の制作物を発注するとき、最初に思い浮かぶのはIR専業の印刷会社やIRコンサルです。
たしかに、これらの発注先は実績が豊富で、安心感があるのは事実。
その一方、企画や表現の面で、読者がマンネリや不満を感じている可能性もあります。
私たちアドバンドにご相談やご依頼をいただくのは、ほとんどがこういったケースです。
大胆なリニューアルを前提に、株主や投資家を中心とするステークホルダーの視点から、読者の属性やリテラシーに合わせて、最適なメディアの選定から制作物の完成までを一貫してサポート。
企画・コンテンツ・デザインなど、実制作(=アウトプット)に強みをもつ支援会社として、IRに関連するあらゆる制作物をご提案します。
まずは資料請求
冊子のみどころ
初めての発行、リニューアルに最適
統合報告書のノウハウが満載
企画やページ構成の考え方はもちろん、従来の印刷物を基本とするスタイルから、デジタルファーストをめざしたインタラクティブPDFによる最新メディアまで、編集・発行にむけたヒントがわかります。
定期刊行物の大敵はマンネリ
読者が飽きない企画のコツ
統合報告書や株主通信は、年1~2回定期的に発行するツール。そのため、読者に飽きの来ない切り口や見せ方が重要です。事例をもとに、マンネリとルーチンを打開するコツをご紹介します。
コンテンツ
- 02
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はじめに
- 10
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第1章
IRの方針 編
IRとは
IR担当者の困りごと①
IR担当者の困りごと②
IR担当者の困りごと③
IRツールの整理
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第2章
IRツール 編
コーポレートサイト
企画・構成のポイント
統合報告書
サステナビリティの歴史
SDGsの基本
発行への2つのフェーズ
明文化①
明文化②
明文化③
明文化④
具現化①
具現化②
具現化③
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