CI構築

CI(Corporate Identity)は、組織づくりにおいて企業の根幹となるものです。
これ自体が直接、売上や利益の向上につながるわけではありませんが、セクショナリズムをなくし、メンバーの一体感を高めるとともに、目標やベクトルの統一によるロイヤリティの向上を実現します。
「理念の創造」にむけたCI構築による、社内の共通言語の見つけ方について紹介します。

間接的に与える
多大なインパクト

企業経営には大きく4つの機能があり、成果に与える影響が大きい順番に、
営業 > 商品 > 組織 > 財務 という活動があります。このなかで「組織」に対する戦略は
間接的ながらも、中長期的にみるとボディブローのようにじわじわと企業の成長にインパクトを与えます。

まず、一人ひとりのモチベーションや仲間同士のチームワークが高まり、社内が活性化します。
同時に、社員共通の目標や方向性が明確になり、企業全体の成長を加速させます。
もちろん、この結果、業績にも大きな成果をもたらすことが期待できます。

そもそも、「なぜ、この商品を売っているのか?」「なぜ、私たちは存在しているのか?」と、Whyを突き詰めて考え追求するのがCI構築の重要なプロセス。これにより、商品や企業に一貫性が生まれることで、お客様の指示を得やすくなり、ブランドの人気が高まるからです。
ほかにも、競合との差別化にもつながり、ビジネスへの参入障壁を高めることも大きなポイントです。

CI構築フロー❶
準備ステージ

インナーブランディングにおける「理念の創造(=CI構築)」は、「準備ステージ」と「実践ステージ」の2つの工程に分かれます。

■CI構成のフロー

準備ステージでは最初に、リーダーを中心としてメンバーを募り、プロジェクトを発足します。
CI構築の完了後、いわばエバンジェリスト(伝道者)として、社内に広める役目を担うのはメンバーたち。
そのため、仕事で結果を出し、ロイヤリティが高く、かつ、今後の影響力に期待できる人物を選びます。
フラットな立場で組織全体を俯瞰できるタイプ、ポジティブな考え方の持ち主などバランスにも配慮します。

CI構築は中長期的な視点で考える必要があることから、一般的には、5~10年後の中核を担う20代後半~40代前半くらいの社員が適任だといえます。
人数は、中小・零細企業なら5~6名、中堅以上の企業になると10名を超えることもあります。

なお、社長が積極的にコミットするかどうかは、社風や業態、組織の課題によりさまざまです。
社長がリーダーとなるトップダウン型のメリットは、意思決定が速いことと、責任の所在が明確なこと。
デメリットは、社長がいることで他のメンバーが委縮してしまい、自由に発言しにくくなる傾向があることです。
一方、ボトムアップ型ではスピード感はないものの、自由闊達にのびのびと意見を言い合えることが利点。
社員自らが決定することになるため、理念を浸透させるとき、協力を得やすくなります。

また、外部パートナー(支援会社)の存在も重要です。
会議の進行役として、ときには混乱・紛糾したときの指南役として、アドバイスをもらうことが可能。
客観的な視点から指摘を受けることは、納得感を得るためにも頼りになる、心強い存在です。

■制作体制

プロジェクト発足後は、過去のふり返り、課題・目標の共有へとつづきます。
なぜ、過去を振り返る必要があるかというと、創業からのDNAにふれる必要があるからです。
自分の出自を変えられないように、企業の社風やあり方は、数十年で変わるものではありません。
これまでの成長過程をたどることで、自社の特徴や強みを改めて確認することができます。

インナーブランディングを進めるにあたり、事前に行った「現状調査」「課題抽出」「目標設定」で得られた結果を、メンバー間でもう一度共有します。
課題や目標を理解し、CI構築の目的を再認識することで、メンバー間の連携を深めます。

CI構築フロー❷
実践ステージ

いよいよ、本格的なCI構築の実践ステージに入ります。最初に行う「社長インタビュー」では、現社長が二代目で創業者が存命であれば、2人にインタビューを行うのをおすすめします。
ここでは、過去に編纂した「社史」や、歴史の出来事がわかる「年表」などをもとに、創業から現在までの大きな流れと、主な出来事を把握します。

「ピンチをどうやって切り抜けたか?」「なぜ、この新事業を始めたのか?」などの質問で掘り下げ、ただ事実を知るだけでなく、その出来事の背景にある事情やウラ話などをヒアリングします。
これは後に、ミッションやバリューなどMIを形づくるキーワード選びで役立ちます。

最初の山場はMIの策定で、ここでは①ミッション ②バリュー ③行動指針 ④ビジョンを検討します。
メンバー全員が一堂に会し、1回数時間、5~8日間ほどのセッションを行います。
登場するキーワードを付箋に書き、ホワイトボードに貼りながらグルーピングする方法が主流です。
これらのプロセスで生まれたいくつかの言葉から、コピーライターが候補となる複数の素案を提出。
候補案をもとに、さらにセッションで議論を深める工程をくり返します。

MIを明文化するとき、多くの言葉を使いすぎると、かえって社員に伝わりにくいものになってしまいます。
焦点をしぼり込むと同時に、合意形成にむけて発散と収束のプロセスをくり返すことが大事。
思い切って広げ、大胆に集約することで、本質が浮かび上がってきます。

第二の山場は、VIの策定です。表現や見せ方に関わるため、デザイナーがメンバーに加わります。
MIと同じく、数日間のセッション形式で進行します。
雑誌のレイアウトやイメージ写真、2軸マトリクスなどを使って、ビジュアル面でのポジショニングを検討。
会社のパーソナリティをふまえ、コーポレートカラーやフォント、必要に応じてロゴや社名を決定します。

「つくって、おしまい」
では意味がない

全体的な方向性が決まった後は、社長へのプレゼンテーションを経て、社内発表となります。
コーポレートサイトや会社案内、名刺、封筒、看板、社内資料などをリニューアルします。

CI構築は、「つくって、おしまい」にならないことが肝心です。
いくら立派な理念ができても、社内に浸透し、企業があるべき姿に近づかなければ意味がありません。
ここからは、制作物を活用した「理念の浸透」フェーズの役割となります。

ところで、理念の浸透には、評価制度と紐づけるのも効果的。
理念に従った行動が待遇に反映される仕組みがあれば、自然と日々の行動に変化が生まれるからです。
社内の同期・非同期型コミュニケーションのなかで、社員が理念にふれる機会を増やすことがポイントです。

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冊子のみどころ

初めてのCIづくりに最適!
基本から実践までを網羅

CIの基本概念から策定方法、さらに活用の仕方まで幅広い知識が身につきます。豊富な図版や写真とともにわかりやすく解説しているため、初めてCI構築に関わる方に最適です。

歴史を知り、未来へ活かす
スタンダードな手法をご提案

CI構築は、新しい言葉を生み出すのではなく、すでに存在する事実を整理し、これらを納得感のある言葉に導く活動のこと。実践ステージにおけるセッションのやり方ほか、具体的に解説します。

コンテンツ

04
はじめに
06
ブランディングとは

ブランディングの目的と意義
具体的な進め方

10
理念の創造 編

[CI構築]
CI(コーポレート・アイデンティティ)とは
CIのつくり方[準備ステージ]
CIのつくり方[実践ステージ]

20
理念の浸透 編

[社内報]
社内報の発行、改定を考える前に
戦略1 同期と非同期のコミュニケーション
戦略2 PULL型とPUSH型のメディア
戦略3 コンテンツのすみ分け
制作のポイント① 発行目的
制作のポイント② 対象読者・用途・活用方法
制作のポイント③ 仕様・体裁
制作のポイント④ 企画
制作のポイント⑤ デザイン
制作のポイント⑥ 効率的な制作フロー
制作のポイント⑦ 年間編集会議
今すぐ使える! 社内報制作のヒント

[社史/周年記念誌]
周年行事における記念誌の位置づけ
記念誌発行の理由とトレンド
制作4つのSTEP① プロジェクトを立ち上げる
制作4つのSTEP② 企画とページ構成を考える
制作4つのSTEP③ 歴史ページを編集する
制作4つのSTEP④ デザインにこだわる
紙とWebのメディアミックス
支援会社選びで必須のRFP

[理念ブック]
理念ブックの目的とページ構成

[リクルーティング]
採用活動でのツールづくり

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