1歩ずつ試行錯誤を重ねながら目指したゴール
完成したのは、想いと歴史を守り繋ぐ記念誌

自社が創業から節目の年を迎えるにあたり、記念誌づくりを検討する企業は数多くあります。ただ、制作自体が初の試みという企業がほとんどで、「何から手をつければいいか分からない」と戸惑う担当者の方も多いのではないでしょうか。我々が制作のお手伝いをさせていただいた株式会社日本ロックサービス様も同様のお悩みを抱えていました。今回は、冊子完成に至るまでのストーリーの数々を座談会形式でお届けします。

※今回ご担当者様の1人である今田様には、リモート形式でご参加いただきました。

創業から50年の節目に
会社の歩みを形に残すことに



松本 最初、当社に制作のお問い合わせをいただいたのは、2018年のことになりますよね。まずは、記念誌を制作しようと思ったきっかけについてお聞かせいただけますか?

中村 そもそもの始まりは10年前、創業40周年を迎える頃に役員会で記念誌制作の話が挙がったことがきっかけだったんです。結局、当時はそのまま計画が保留となってしまったのですが、「どこかのタイミング、何かしらの形で会社の歴史や創業者の想いを残しておかなければ」ということはずっと考えていました。そこで、2021年に創業50周年を迎えるタイミングで改めて計画を進めることにしたんです。

山下 満を持して始動したプロジェクトだったんですね。その中で、当社に発注を決めていただいた理由をお伺いしていいですか?

中村 やはり、アドバンドさんからいただいた提案内容とアドバイスが大きな決め手となりました。記念誌づくりは会社としても初の試みだったので、まず何から着手すべきか、どこに協力をお願いすべきか、当初は右も左も分からない状態だったんです。そんな中でアドバンドさんからお話を伺ったとき、具体的な作業の進め方や企画例について分かりやすく説明いただいたことに加え、制作事例も数多く拝見できたので、冊子完成までの道筋が明確にイメージできました。

竹村 わたしも制作事例を見て、それまで抱いていた記念誌のイメージが大きく変わりましたね。何となく想像していたのは、文章ばかりで分厚い昔ながらの冊子。実際には、どこの会社も柔らかな雰囲気で読みやすいものが多く、「記念誌って、こういう自由な作り方もできるんだ」と参考になりました。

中村 当社としても、せっかく作ったのに内容がつまらないせいで結局読まれないまま捨てられてしまう……という結末だけは避けたかったので、「コンテンツやデザイン面の工夫はもちろん、社員参加型の企画を多く盛り込んで、制作過程もふくめ全員が楽しめる冊子を目指しましょう」というところまでアドバイスいただけたのは大変ありがたかったです。ぜひ、お願いしてみたいと思いました。

松本 そう言っていただいて光栄です。たしかに「読まれやすい」「色んな人が楽しめる」という点は、ご提案の段階から重視すべきポイントとして考えていました。そのほかにも、掲載するコンテンツに合わせて冊子を切り分けるほうが、内容をより理解しやすいと思いました。そこで、会社の歴史を情報的にまとめつつ、社員参加型の企画を多く盛り込んだ「本紙」と、創業者と現社長の想いを絵本形式で記す「別冊」の2冊組の構成でご提案させていただいただきました。


作業は試行錯誤の連続
社員・OBの協力を得て制作



山下 制作期間中、特に大変だったことや苦労されたエピソードなどはありますか?

今田 本紙の中に、社員旅行など社内イベントの写真を掲載しているアルバムページがあるのですが、写真の収集とセレクトには大変苦労しました。かなり昔の写真になってくると、アルバムごとお借りして材料を集める必要があったり、逆にカメラ付き携帯が普及してきた2000年初頭ぐらいの時期になると、写真そのものが少なかったり。色々な方にご協力をお願いしつつ作業を進めました。

竹村 たしかに、社員の方々から原稿や写真を提供してもらうページも多かったので、正直なところ「みなさん業務で忙しい中、対応してくれるだろうか……」と不安に思っていたのですが、どなたも快く協力してくれたのは本当にありがたかったです。

中村 個人的には、創業当時の会社の様子や事業の内容など、細かい情報を集めることに苦戦しました。創業社長が記念誌制作の構想中にご逝去されたこともあり、社内スタッフのみでは事実を確かめられない箇所もあったんです。結果的には創立メンバーであるOBの方数名にヒアリングを実施できることになったのですが、わたしからすれば、どなたも会社の礎を作ってくださった大先輩にあたる方ばかり。とても緊張しましたし、責任を感じました。

松本 ヒアリングには我々も同行させていただきました。OBの方々にお話を聞いていく中で、会社の歴史はもちろん、創業社長の「人物像」も知ることができたので、お伺いした内容は別冊の絵本の制作にも大変役立ちました。

山下 別冊の制作は個人的にもかなり印象深いです。冊子の立ち位置をふくめ、どんな構成で進めていくべきなのか、お互いの意見をすり合わせ、内容を詰めていくことに苦労しました。

中村 そうですね。アドバンドさんにもかなり相談させていただきました。ただ、時間をかけてじっくり内容について検討できた分、「創業社長の想いはOBの方々へのインタビューを通じて見えてきた人物像を中心に、現社長の想いは父である創業社長への想いを手紙形式で構成する」という形にうまく着地できました。

今田 創業社長のパートは、色々な方から伺ったお話から浮かび上がってきた人物像から設立以来受け継がれてきた当社のDNAを感じ取れる内容に、現社長のパートも創業社長に対する想いを通じてこれから新たに築き上げられていく会社の未来に思いを馳せられる内容になっています。読んだときは、とても胸を打たれましたね。

松本 わたし自身も、完成に近づいていくにつれて、「これは、とても価値のある冊子を作っているんじゃないか…!」という気持ちになれました。日本ロックサービスの歴史や人々の想いを知れば知るほど、「素敵な会社だなあ」と思いました。社員のみなさんが読んだときにも、親近感を持てる内容になっているのではないでしょうか。


記念誌を通じて生まれる会話
社員も家族も楽しめる内容に



山下 今回制作した冊子の中で、特にお気に入りのポイントなどはありますか?

今田 全体を通して、会社創業時からの歴史を細かく知れる構成になっているところです。自社の製品や社屋の変遷など、はじめて知る事実も多く勉強になりました。

中村 冊子を見ると、自分自身の歴史も走馬灯のようによみがえりますね。「こんなこともあったな」と改めてふり返ると、なんだか感慨深いです。お客様、就活生などに会社について紹介する際にも便利だと思うので、これからどんどん活用していこうと思います。

竹村 わたしは、従業員の方全員から「10年後の夢」をお聞きして、顔写真と一緒に掲載した企画がお気に入りです。普段なかなか面識のない方や、最近会えていない方の姿を、誌面の中でお見かけできたのは非常に嬉しかったですね。

松本 ちなみに、読者のみなさんからの反響はいかがでしたか?

竹村 ありがたいことに、たくさんのご感想をいただいています。「普段社内で交流のない人も、冊子に掲載されている写真やメッセージを通じて何となく人となりを知れて良かった」というお言葉をはじめ、別冊の絵本でも「創業社長の人柄、現社長の心の内がリアルに伝わってきて感動した」という声をいただきました。みなさんそれぞれ社歴に応じて自分なりの懐かしいポイントがあるようで、それをお互いに共有し合いながら、若手もベテランも垣根なく、みんなで一緒に冊子を眺めてワイワイ盛り上がっていますね。わたしも家族に完成した冊子を見せたら、オフィスの写真が好評でした。なかなか自分の働いている会社の様子を知ってもらえるチャンスもないので、貴重な機会になったと思います。ほかのみなさんも各家庭で同じように楽しんでくれていると嬉しいですね。

中村 わたしの場合は息子も載っているので、家族の会話がふくらんで楽しいですね。当社では、親子や夫婦が揃って同じ職場に勤めている方が非常に多いんですよ。

山下 記念誌がほかの社員、家族との会話のきっかけになるのは嬉しいですね。みなさん、それぞれ楽しんでいただいているようで我々も光栄です。


長い制作期間を経て完成
達成感に満ちたプロジェクトに



松本 最後に改めて、今回の記念誌制作に携わってみていかがでしたか?

今田 無事に完成し、ホッと安心しています。プロジェクトが始動した頃は、何から手をつければいいかまったく分からない状況でしたが、アドバンドさんには最初から最後までうまくリードしていただきました。社員のみなさんも協力的で、材料収集の期限も守っていただけたおかげでスムーズに作業を進めることができ、本当に感謝しています。このチームで制作に携われたことは、自分にとって大きな財産となりました。

竹村 我々は普段クリエイティブな仕事に携わっている訳ではありません。そのため、制作の過程では色々と戸惑うことも多かったのですが、アドバンドさんと二人三脚で作業を進めていく中で、自分でも最終的には「いいものを作りたい!」という気持ちが大きくなっていきました。社内でも大勢の方に協力いただき、みなさんとの絆や交流も深められたと感じています。

中村 今回のように記念誌を制作するタイミングがなければ、ここまで過去の資料や情報を収集する機会はなかったでしょうし、自社の歴史についてじっくり想いを馳せることもなかったと思います。入社以来、さまざまな業務に携わってきましたが、自身の引退も近づいている中、その集大成として最後に素晴らしいプロジェクトに携われたことには本当に感謝しています。みなさんに対して「ありがとうございました」というひと言に尽きますね。アドバンドさんにお任せして大成功でした。

松本 ありがとうございます。当社としても、初となる2冊組構成、そして片方は絵本形式の記念誌ということで、新たな挑戦をさせていただいたプロジェクトになりました。コロナの影響もあり、予定より制作に時間がかかってしまいましたが、結果、他社とは違うオリジナリティあふれる冊子に仕上がったと思っています。
本日は、ありがとうございました。


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