野菜の商社ならではの鮮やかな表紙が目印
誰にとっても分かりやすい株主通信を制作

株主通信※は、株主や投資家に対して財務情報や事業活動をアピールできる貴重なツールです。今回ご紹介するデリカフーズホールディングス株式会社様は、青果物に特化した商社で唯一、東証一部に上場している企業です。発行する株主通信は、株主だけではなく営業先や仕入先、さらには就活中の学生にも幅広く配布することを想定していました。そのためには、誰にとっても分かりやすく魅力的な紙面作りをする必要があります。2013年より制作を担当する当社では、形式や前例にとらわれない斬新な企画の提案と、柔軟な対応でその紙面作りに貢献。その成果が認められ、会社案内や採用ツールなど、他の制作物もご発注いただきました。今回は、デリカフーズホールディングス株式会社の遠藤様、中村様と当社デザイナーの松本、ライターの助川で座談会を開催し、お話を伺いました。

※この座談会では、株主通信を「事業報告書」と呼んでいます。

契約産地での取材や他社との座談会など、
斬新な視点で企画を提案



助川 当社が御社の事業報告書(デリカレポート)の制作を始めたのは20133月期の決算からでしたが、まずは当社に発注を決めた経緯をお聞かせいただけますか。

遠藤 前任の担当者に確認したところ、以前は別の制作会社に発注していたのですが、やり取りやクオリティーにもの足りなさを感じていたと聞きました。そんな時に偶然、アドバンドさんから送られてきたDMを見て、気になって問い合わせてみたとのこと。面会の際にお持ちいただいた他社の制作事例を確認し、懸念していた品質も問題ないと判断し、2013年に正式な発注を決めたそうです。

松本 ご発注後、初めて納品された事業報告書はいかがでしたか。

遠藤 前任は、「すべての品質が良かった」と言っていました。特に、構図やデザイン、文章のクオリティーを評価していましたね。また、当社の事業報告書は株主だけでなく、営業先や就活生向けの会社説明会での配布も想定しています。そのため、会社について初めて知る方たちにとっても、事業内容や最近の取り組みに関心がわくページ作りが必要です。アドバンドさんは、チャートやイラストを使用して、伝わる工夫をしてくださった。そこが良かったそうです。また、デザイナーやコピーライターさんに制作していただいたことで、負担軽減にも繋がりました。それらを総合的に評価したとのことでした。

助川 ありがとうございます。それから5年以上のお付き合いとなりますが、やり取りの中で印象に残っていることはありますか?

中村 いろいろありますが、まずは企画に関してさまざまなご提案をいただけるところでしょうか。例えば2017年には、全農様と農業総合研究所様、それぞれと業務提携契約を結んだことをきっかけに3社で座談会を行い、内容を事業報告書に掲載しました。これは、アドバンドさんからいただいたアイデアでしたね。

松本 社外の方をお呼びして対談していただくことがどれくらいのハードルなのか分かりませんでしたが、この機会を逃す手はないと思い、ご提案しました。

遠藤 提案がなければ、実施していなかったと思います。あのページは、社長の大﨑が自身のセミナーで配布したり、生産者の方にも渡したりして、農業界に対して当社の新しい動きをPRするためにも活用でき、とても良かったと思います。また、今では恒例となっている最終ページの産地レポートも、アドバンドさんに発注した時に初めて取り入れました。

松本 この産地はどうやって選んでいるのですか?

遠藤 仕入れ担当の社員に協力してもらい、契約産地として取引のある、こだわりの野菜を作っている農家さんにお願いしています。全国に契約産地があるので、2号連続で同じ地域にならないよう、また、似たような野菜の紹介を避けて、仕入れ担当には提案して掲載しています。

助川 取材先が関東近郊の場合は私たちも同行して、生産者の方に直接インタビューさせていただきましたね。産地と御社が普段どのような関係でお取引をしているのか感じられる良い機会となっています。私たちが直接取材することに対しては、どのようにお考えですか?

中村 やはり、実際に肌で感じて取材してもらうと、農家の方の想いが伝わりやすいと思います。また、産地から送ってもらった写真では内容にそぐわないこともあるので、撮影していただけるとありがたいですね。最近は遠方が多いのでアンケートをもとに原稿を起こしていただいていますが、取材もまたお願いできればと思っています。


社内の事情に合わせて柔軟に対応
意見を出し合い、“丸投げ”ではなく一緒に制作



中村 また、毎回の制作の際、臨機応変な対応をしていただける点も、とても印象に残っています。例えば、こちらで用意する素材。私たちも早めに動き出して集めるよう心がけているのですが、産地レポート用のアンケートがなかなか戻ってこない場合も多くて……。辛抱強く待っていただき、助かっています。

助川 原稿執筆を外部のパートナーに委託している場合は、こちらも締め切り通りに進める必要がありますが、幸い社内にライターがいるため、多少のスケジュールの変更には対応できるんです。当社の強みの一つですね。

中村 また、色に関してもこれまでさまざまなリクエストに応えてくださいました。例えば、濃いオレンジのことを「金時にんじんのような色」と指定したこともありました。

松本 御社の中では共通語なのかと思い、一生懸命検索して色を合わせました(笑)

遠藤 文字数も、打ち合わせ後のラフデザインの中である程度決めてくださるんですが、大幅に超えてしまうこともあり、調整していただいて……。

松本 ラフデザインに合わせた結果、伝えたいことが十分に伝わらないほうが危険だと思っています。大事なのは、当初のデザインを最後まで突き通すのではなく、伝えたい内容と分かりやすさをすり合わせることなんです。

遠藤 こちらからの要望に対してプロの方からの意見をいただき、それでも私たちが「やっぱりこうしたい」と言えば実現のために一緒に考えてくださるのがアドバンドさんの心の広さですよね(笑)それでいて、間違っている部分に関してははっきり教えていただけるので、社内を説得しやすいです。

中村 意見を伝えやすい雰囲気があり、相談していて苦にならない。例えば電話をした際にも明るく受け答えしてくださるので、コミュニケーションもスムーズ。気持ちよくやり取りできるんです。


株主だけでなく幅広いステークホルダに配布
あらゆるコミュニケーションに活用



助川 株主の方からの反応はいかがでしょうか。

遠藤 この事業報告書を見て株主の方から苦情やお叱りが来たことはありません。以前までは掲載内容に関して「数字が間違っている」といったご指摘もあったそうです。機関投資家や証券会社の方からも、ご意見が来ることは特にないですね。つまり、この冊子でおおむねご理解いただけているのだろうと考えています。

松本 大きなIRフェアなどでも配っていますよね?

中村 はい。前に出展した際、来場された方から言われたのが「ここの事業報告書は表紙の写真がきれいだから飾りたくなるね」という言葉。見栄えのいい野菜の写真が目を引くので、ラックに並べておくと皆さん手にとっていただけます。

遠藤 会場には私たちの会社について全く知らない個人投資家の方も多くいらっしゃいますが、業務フローや中期経営計画などはチャート・イラストで解説しているため、説明しやすくて助かっています。

松本 分かりやすさは常に意識しているので、そう言っていただけて嬉しいです。ちなみに、他ではどういったところで配布しているんですか?

遠藤 仕入れ担当者が新たな仕入先開拓のために、説明会で配布することもあります。また、お客様の中で契約産地のことを知りたい方は多いので、産地レポートを見せてご案内しています。ページを見て「このレタスを見に行きたい」と聞かれたら産地にお連れすることもあるんですよ。

中村 さらに、リクルートの際には会社の概要を説明する資料として、社内研修の際には今の会社の動向を伝えるツールとしても使用しています。例えば産地レポートに掲載されているのは、もともとは仕入れ部門の社員しか知らない情報です。社内で配布された時に初めて知る社員も多いはず。情報の共有に一役買ってくれています。

遠藤 私は中途採用でデリカフーズホールディングスに入社しましたが、実は入社前にこの事業報告書を見せてもらって「とても良さそうな会社だ」と感じたんです。きれいな野菜の写真と、社長のトップメッセージを読み、しっかりと会社を理解してから面接に臨むことができました。その時は、まさか自分も制作する側になるとは思っていませんでしたが(笑)

助川 そうだったのですね! ちなみに御社とは、事業報告書から始まり、その後会社案内や採用案内、さらには会社説明会で流すための動画制作までご発注いただいています。どういった経緯で他ツールへ発展していったのでしょうか?

遠藤 例えば採用案内は、人事担当の社員に紹介しました。というのも、事業報告書を見た社員から「これはどの会社で作っているの?」と聞かれたので、アドバンドさんに発注していることを伝えたんです。当社のことをよく知ってくださっているので、採用ツールや採用向けの動画に発展していきました。

松本 評価していただいて嬉しいです。今後、当社に期待することはなんですか?

遠藤 もっと遠慮なくご指摘いただけたら嬉しいです。もしかしたら「お客様だから」という気持ちがあるのかもしれませんが、アドバンドさんなら嫌な気分にはなりません。だから、踏み込んで意見をくださると良いですね。「この写真だと別のものと雰囲気が似ているので変えたほうがいい」といった問題は、私たちだけでは気づけないので、アドバイスをいただけると助かるんです。

中村 今後の要望としては、社内で動画を使う機会が増えているので、使いやすい動画をお願いしたいです。以前作っていただいた採用向けのものはパワーポイントで制作されているため、ちょっとした修正なら社内で行えて重宝しています。この間の株主総会でも、始まる前に株主様向けに言葉を変更して流しました。融通が利くのが便利ですね。今後も、いろいろとご提案いただきたいと思っています。

助川 ありがとうございます。最近は、事業報告書ではなく、CSRSDGsの観点も含めた「統合報告書」として発行する企業も多いです。年2回のままでいいのか、内容を充実させて年1回にするのか、そういった部分も今後ご提案できたらと思います。

松本 私は前任者から制作を引き継いで、現在は勉強しながら携わっています。財務諸表や株式情報などIRについても、急ピッチで知識を深めているところなんです。これからもより良い企画やデザインをご提案できるよう頑張りますので、引き続きよろしくお願いします。


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