デジタルにはない
「実体」という価値
見込客との接点を生み出す「マーケティング」と、商談を通じて見込客との成約を目的とする「セールス」。
企業が成長する“エンジン”ともいえる、これら販促において、デジタル化が著しい時代になりました。
リスト顧客への対応にしても、メールマガジンを発行してLPやオウンドメディアに誘導する、あるいは、ニーズに合うホワイトペーパーをダウンロードしてもらい啓蒙・育成を図るインバウンドセールスを中心に、一見すると、あらゆる活動をデジタルで効率化するほうが、時代の流れに沿っているようにも思えます。
ところが、ここには大きな“落とし穴”があります。
そもそも、積極的にメルマガを発行したとしても、読んでもらえる割合は決して多くはありません。
その理由は、コンテンツの良し悪しにあるのではなく、価値を感じにくいという性質があるからです。
メルマガの配信やWeb広告から自社サイトへの動線は、気軽に取り組むことができるうえ、実体がないがゆえに、見込客から信用を獲得することが簡単ではありません。
たとえ、お客様にとって有益かつ斬新なアイデアやノウハウだとしても、じっくり読まれる可能性は高くないと考えるべきです。
一方、ニュースレターや広報誌を印刷物として発行する場合、ブランド(=価値)を訴求できます。
実体があるパンフレットには、読者に価値を感じてもらいやすいという優位性があるからです。
また、見込客との接点を、能動的に生み出せる点も大きな利点です。
印刷物なら郵送も手渡しも自由。内容さえ良ければ何度も読んでもらえるし、口コミも期待できます。
つまり、一定の投資は必要なものの、デジタルにはない「実体」という価値は有効性を高めます。
最大の目的は、
御用聞き営業の自動化
ニュースレター/広報誌の役割は、大きく3つあります。
1点目は、リードナーチャリングです。見込客にとってのお役立ち情報や商品まわりのトレンドを伝え、専門家と位置づけることで、お悩みや課題が発生したときに声がかかりやすくなります。
2点目は、商談のリベンジ(復活)です。B2Bでは、顧客企業内の都合で失注するケースが多いため、再び課題が持ち上がってきたとき、支援会社として真っ先にお呼びがかかる仕組みをつくるのが目的です。
3点目に、最も大きな役割として、御用聞き営業の自動化があります。
「御用聞き」とは、得意先や買ってもらえそうな客先を定期的に訪問し、注文を獲得する営業手法のこと。
いわば、営業活動の常とう手段として有効で、多くの企業で活用している手法です。
ところが、リモートワークの常態化や、働き方改革による残業抑制の動きから、訪問や電話など、顧客企業の担当者の時間を奪う行為は、敬遠される傾向があります。
そこで、ニュースレター/広報誌を使いスマートに接点を図ることで、業務に支障を来さない情報提供ができます。
制作フローの理解と
支援会社選びが重要
ニュースレター/広報誌の成功には、発行目的や対象読者をふまえた戦略を検討する必要があります。
完成するまでの流れには、大きく5つのSTEPがあります。
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STEP 1
キックオフMTG
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キックオフMTG
編集長を中心として編集部員を集めて、プロジェクトチームを発足。発行目的や方針などを共有します。ポイントは、企画・取材・デザインなどをサポートしてもらう支援会社を、正しく選定すること。制作物のクオリティ向上や業務の効率化、さらに、社内では気づかなかった企画・アイデアの創出など、優秀な支援会社を選べるかどうかは、後々、大きな意味をもつからです。キックオフMTGでは、年間予算、発行回数、印刷部数、配布先など、全体像を共有するとともに、可能ならKPIをふくむ発行目的の達成イメージを思い描くことも大切です。
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STEP 2
企画編集会議
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企画編集会議
発行にむけて、よりくわしい必要事項を決めていきます。掲載内容、表現のトンマナ、支援会社や編集部員の役割分担、ページ構成、取材・撮影の有無ほか、納品までのスケジュールをふくめ、初回発行にむけた準備を進めます。これには「年間企画会議」が有効。たとえば年4回/季刊で発行するなら、1年間4号分のおおまかな計画を立てると効果的です。
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STEP 3
コンテンツの作成
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コンテンツの作成
社内の編集部員または支援会社のライターによる取材や原稿作成、カメラマンによる撮影、必要に応じて、イラストレーションの発注ほか、素材の収集にとりかかります。外部の識者や著名人に登場してもらう場合、エージェントなどを通じて取材の依頼を行うこともあります。
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STEP 4
レイアウト・デザイン
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レイアウト・デザイン
STEP2で確定した企画・ページ構成などをもとに、支援会社のデザイナーが中心となりラフ案を作成。さらに、STEP3で収集した素材をもとに、実際の誌面としてレイアウトします。通常、支援会社のデザイナーとは「初校」「再校」「三校」という形で、数回のやり取りが発生します。無事、社内ですべての確認がとれると「校了」となり、データを印刷会社に入稿します。印刷後のミスや事故の発覚を回避するため、第三者による「校閲」という工程をはさむこともあります。
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STEP 5
印刷・納品
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印刷・納品
本番の印刷工程に入る前に、「色校正」といって、見本刷りを確認する工程があります。修正がなければこのまま印刷工程に進み、修正が見つかれば直して確認し再入稿となります。印刷・製本・加工を経て、本社や発送会社など指定箇所に納品されます。
お役立ち情報と
ボランタリーが基本
最も重要かつ、仕上がりに大きなウェイトを占めるのが、STEP2の企画編集会議です。
ページ構成では、多くの場合、各号ごとに単発で取り上げる「特集ページ」と、毎号必ずレギュラーとしてコーナーを設ける「連載企画ページ」に分けて、ディスカッションを深めます。
読者を飽きさせず、しかも、次号への期待がふくらむ企画を考えたいものです。
ところで、企画を検討するときは常に、読者(見込客)の立場で考える姿勢が求められます。
発行側企業が「言いたいこと」ではなく、読者が「知りたいこと」や「知れば役立つこと」という視点で、読者にとって気づきや発見、ためになるアイデアやノウハウなど、お役立ち情報を提供するのがポイントです。
つまり、ニュースレター/広報誌は、マネタリーではなくボランタリーであるべきということ。
自社の商品を売ろうとするのではなく、顧客の成功や課題解決にとって効果的なコンテンツを掲載します。
読者属性を想定しつつ、
自社をポジショニング
コンテンツやデザインにおいては、読者を正しくイメージし、嗜好や属性に沿った表現を心がけます。
一般に、コモディティを扱う企業ならカジュアルな表現が、高級商品なら洗練された表現が望まれます。
しかし、これを逆手にとって、あえてギャップをねらう方法もあります。
大手のレガシー企業がマンガやイラストを使う、零細企業が専門性の高い濃密な文章で表現するなど、常識をくつがえして、競合とは異なるスタンスで発行するというのも、読者に驚きをうながし効果的です。
ただし、主要ターゲット層の年齢・趣味・嗜好など、読者の属性には配慮すべきです。
高齢者が多いのに文字が小さすぎる、20代の女性むけなのにデザインが昭和っぽいなど、読者層と編集部員とのギャップが大きいときは、特に注意が必要です。
最後に、ニュースレター/広報誌のリニューアルについてもふれておきたいと思います。
「すでに広報誌を発行しているが、いまひとつ効果が表れていない……」
そう感じているなら、原点に返って、発行目的や編集方針をもう一度考え直すときかもしれません。
読者をワクワクさせたいなら、作り手である編集部員こそがワクワクして楽しむ姿勢が不可欠です。
企画のマンネリには、思い切って編集部員の若返りを図る、あるいは支援会社を変更するのも効果的。
大胆な変更や刷新ほど、ドラスティックな成果を期待できると思います。
まずは資料請求
冊子のみどころ
デジタルとアナログのちがい、
発行目的を深く考えるヒント
発行を検討している企業、発行しているがマンネリ化に不満の企業の方に最適。メルマガではなく印刷物としての優位性、“御用聞き”として最も有効な理由など、読者心理から得たアイデアが満載です。
発行までの手順が一目瞭然
発注先選びにも役立ちます
短期的な売上ではなく、お客様との中長期的な関係づくりに効果的なコンテンツとは!? お客様の案件だけでなく、自社で50号の冊子を発行してきた経験から生まれたノウハウを、惜しみなく披露します。
コンテンツ
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はじめに
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第1章
販促6つの基本 編
- ①マーケティングとセールス
- ②商品スペックと顧客メリット
- ③お客様が知りたい2大コンテンツ
- ④ウェブサイトはデジタル時代の「受け皿」
- ⑤PULL型とPUSH型のちがい
- ⑥B2Bの特徴と攻略法
- 26
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第2章
戦略「販促の設計図」 編
事業活動を再定義する
基本的な考え方
商品/顧客を決める
「販促の設計図」をつくる
営業活動の流れ
顧客接点の手段
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第3章
戦術「販促ツール」 編
ウェブと印刷物
セールスコピーライティングの重要性
ウェブの販促ツール
コーポレートサイト① 基本知識と全体像
コーポレートサイト② 改訂のヒント
Webマーケティング
かみの販促ツール
会社案内/営業カタログ
ニュースレター/広報誌
ダイレクトメール(郵送DM)
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アドバンドとは