はじめてつくる

統合報告書

これまでは、主に大企業が発行してきた統合報告書。
いま、中堅・中小企業にも、その動きが波及しています。
課題は、ESGやSDGsへの理解と対応、
そして対象読者の設定です。
基本知識からトレンドまで、知っておきたい
4つのポイントをお伝えします。

POINT1

統合報告書とは何か?

誕生の背景と目的

統合報告書は、「企業の中長期的な価値創造の戦略・方針を説明するレポート」のこと。
株主・投資家を対象とし、企業の将来の方向性をまとめた要約版ともいえます。

これまで上場企業は、財務諸表や財務指標を中心としたIR活動を行ってきましたが、
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)からなる
ESGを無視した経営をして、世の中からバッシングを受けるという出来事もありました。

企業価値や株価が急落し、株主や投資家に損失を与えたケーススタディをもとに、
社会的な課題解決が「事業機会」と「投資機会」を生む、という考え方が急速に拡大。
つまり、従来のように、財務情報のみのアニュアルレポートでは情報提供が不十分とされ、
「ESG投資」が注目されたことで、統合報告書の発行が求められるようになりました。

発行企業の現状

日本国内では、上場する大企業を中心に、統合報告書を発行する企業数は、
2017年には400社ほどでしたが、2年後の2019年には530社以上へと大幅に拡大。
また、SDGsへの関心の高まりとともに、中堅・中小企業へとすそ野は広がりつつあります。

その一方、アワードやランキングなど、専門評価機関の目を気にするあまり、
本来の株主・投資家とのコミュニケーションの本質を、見失うケースも少なくありません。
まだ歴史が浅いツールのため、各社が試行錯誤している状況だといえます。

コンテンツは財務と非財務

誌面に掲載するコンテンツは大きく2つに分かれます。
1つは定量的な「財務情報」、もう1つは定性的なものを中心とする「非財務情報」です。

財務情報とは、ある時点、もしくは一定期間の経営状況を示すもの。
PLやBSなど財務諸表そのものや、ここから導き出される各種の財務指標があります。
これらは、確かな数値で示される、過去に蓄積してきた経営成績といえます。

一方、非財務情報には、「知的資産」と「ESG」があります。

知的資産とは、経営者の能力、理念やビジョン、技術開発力、マーケティング力、
人材リソース、有力な取引先やサプライヤーなど、“見えざる”無形資産に加え、
研究開発にむけた設備、資金力など有形資産もふくみます。
つまり、将来の売上・利益を生み出す、自社独自の強みやシーズを指します。

ESGでは、環境・社会・ガバナンスにおけるリスクを特定して、これらを回避する施策や、
逆に、この施策によりビジネスチャンスを獲得する可能性についても言及します。

これらの情報に企業データを加えたものが、統合報告書の主なコンテンツとなります。
1つは定量的な「財務情報」、もう1つは定性的なものを中心とする「非財務情報」です。

POINT2

発行するメリットは大きい

本来の姿とトレンド

これまでは大企業を中心に、株主・投資家を対象とする「アニュアルレポート」と、
すべてのステークホルダを対象とする「CSR報告書」が発行されていました。
そのため、アニュアルレポートはESGの観点を加味した統合報告書として再編集、
CSR報告書は従来のままで継続する、という選択をしている企業も少なくありません。

たしかに、CSR報告書の読者は、必ずしも財務戦略に関心をもっているとは限りません。
さらに、中立的な立場で外部からの意見を社内に伝える、重要な役割を担っています。
想定する読者が異なることを考えると、2冊発行することが正しいといえます。

その一方、社員や取引先など、株主・投資家以外のステークホルダといえども、
事業を推進する上で、財務に関心を持ってほしいとする主張もあります。
ディスクロージャーのトレンドからいえば、むしろ1冊にまとめるほうが効率的で、
幅広い関心を集める統合報告書が完成すると思います。

全ステークホルダを対象に

ESGなど非財務情報は、あくまで義務ではなく自主的な情報開示です。
そのため、間接業務に予算を投じることに抵抗のある中堅・中小企業にとっては、
IRにかかる手間やコストを最小限にし、費用対効果を高めることが大切です。

そこで、統合報告書の対象読者を、株主・投資家に限定するのではなく、
すべてのステークホルダにしてみてはいかがでしょうか。
つまり、社員、取引先、サプライヤー、金融機関、就職希望者、
さらに、支店や工場など拠点のある地域の住民など、対象読者を拡大するわけです。

事業モデルにおけるESGの課題が、リスク・リターン・インパクトの観点から、
財務や経営にどう影響するかを説明するとともに、企業の持続的な成長を約束する。
株主・投資家を主要ターゲットとしながらも、
社内外のコミュニケーションツールとして広く機能する“一冊”が、完成するはずです。

これまでのように、統合報告書は大企業だけのものではありません。
むしろ、中堅・中小企業にこそ、価値創造のシナリオを共有できるツールとなります。

発行する3つのメリットとは

統合報告書を発行するメリットは、大きく3つあります。

1

1冊で自社の価値創造の全体像がわかる

たとえ社員であっても、意外に自社の全体像は容易に把握できないものです。
企業活動の概要を網羅でき、会社全体を俯瞰できるツールとして、
社内外の共通言語ができ、バランスの良い意思決定を可能にします。

2

あらゆるステークホルダとの対話が深まる

株主や投資家はもちろん、社員、取引先、サプライヤー、金融機関、
さらに就職希望者に対しても、企業ブランドがひと目で伝わります。
Webサイトとの情報のすみ分けに配慮すれば、さらに効果的です。

3

費用対効果の高いIRが可能になる

IR活動において、外部開示資料の「軸」ができます。
非財務の要素が財務に与える影響を把握し、課題を共有。
これは、競合他社と比べて、大きなアドバンテージにつながります。

たしかに、統合報告書の発行には手間とコストがかかりますが、
それ以上に、企業ブランドの向上へと寄与することは、まちがいありません。

POINT3

課題はESGとSDGs

ESGとは、そしてSDGsとは

先進国の大企業を中心に、統合報告書の発行がスタートしたきっかけとなった、
「ESG投資」が注目された経緯は、POINT1の「誕生の背景と目的」で述べました。

環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)。
ESGとは、これら3つの頭文字をとった言葉です。

例えば、環境(E)はCO2削減や自然エネルギー活用への取り組み、
社会(S)は女性活躍・ワークライフバランスや育児サポートの推進、
企業統治(G)は社外取締役の設置やコンプライアンス重視の経営などを指します。

SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、持続可能な開発目標のこと。
2030年までの15年間で達成すべき17分野の目標と169のターゲットが、
2015年の国連サミットにおいて、193ヶ国で採択されました。

2017年には、世界経済フォーラム(ダボス会議)において、
SDGsによる経済効果は12兆ドルと試算されるという報告がなされ、
さらに同年には、世界最大の年金運用機関である日本のGPIFが
ESG投資の運用資金を1兆円から3兆円に増やすと宣言しました。

つまり、SDGsは、企業経営におけるESGを考えるときの指針となる共通言語。
自社の事業領域のなかで、17の目標と169のターゲットの関係性を検討して
最も貢献できる分野を特定し、事業モデルに落とし込んで活動を展開します。
これにより各企業は、ESG投資の観点から、一定の評価を獲得することができます。

PRIとSDGsの関係

PRIとは、Principles for Responsible Investmentの略称で、責任投資原則のこと。
2006年、当時のアナン国連事務総長が提唱したもので、
機関投資家の投資行動に、ESGを加味・反映させるべきだという方針を示しました。

PRIとSDGsは、ともに国連のイニシアチブで、
世界共通のガイドラインとして、広く認識されています。

例えば、環境(E)はCO2削減や自然エネルギー活用への取り組み、
社会(S)は女性活躍・ワークライフバランスや育児サポートの推進、
企業統治(G)は社外取締役の設置やコンプライアンス重視の経営などを指します。

ESG投資とSDGsの関係

社内的な課題解決が事業機会と投資機会を生む

① 資産保有者(アセットオーナー)が年金基金などの運用を検討する
② 運用する機関投資家はPRIに配慮し、ESGの視点で投資先を検討する
③ 機関投資家から自社への投資を促すため、企業はSDGsを推進する

つまり、「ESG投資」のサイクルにより、持続可能な社会の実現が期待できます。

なぜ今、ESGの視点が必要か?

ESG投資が加速するなか、SDGsに力を注ぐ大企業が増加しています。
そんななか、たとえ中小企業であっても、この世界的な潮流を無視すれば、
サプライチェーンからはずされてしまうリスクが発生します。
つまり、大企業・中小企業を問わず、SDGsの理解と推進が求められているのです。

一方、経営リスクを回避するだけでなく、
ひょっとしたら、大きなビジネスチャンスを生み出す可能性も見逃せません。

海洋プラスチックごみが社会問題となるなか、スターバックスなど大手飲食店を中心に、
プラスチック製ストローを廃止する動きが世界的に広がっています。
環境への配慮にむけ、技術力の高いメーカーにとっては、大きなビジネスチャンスが発生。
SDGsへの取り組みは、新たな事業機会の創出につながるはずです

SDGsとともに、CSVの動きもあります。マイケル・E・ポーターらが提唱したCSVとは、
Creating Shared Valueの略で、共通価値創造のこと。
事業とまったく関連性のない活動にも当てはまるCSRとちがい、
企業の事業領域と直接関係する社会貢献活動がCSVといえます。

社会的な課題の解決に対し、企業が新たに負担するのではなく、
自社独自の強みによる差別化戦略で、サステナブルな社会に貢献しようというもの。
つまり、CSVは、SDGsとも非常に親和性の高いコンセプトです。

ESGの視点は、規模を問わず、あらゆる企業に求められており、
戦略や方針を社内外に伝えるのに、統合報告書は最適なツールだといえます。

POINT4

統合報告書のつくり方

IRツールを整理、統廃合する

さいごに、統合報告書をはじめてつくる方のために、必要な知識をお伝えします。

最初に検討すべきことは、IRツールのラインナップです。
アニュアルレポート、ファクトブック、CSR報告書、株主通信、Webサイトと、
対象読者ごとに、さまざまなIRツールを制作していると思います。そこで、
統合報告書の発行を機に、ツールの廃止やページ削減をふくめ、一考すべきです。

たとえば、WebサイトのIR情報をディスクロージャーの中心に置き、
印刷物の“中核”として、統合報告書を制作してみてはいかがでしょうか。
紙媒体は、機関投資家を中心とした全ステークホルダむけの「統合報告書」と、
個人投資家に対して長期投資をうながす「株主通信」の2つに集約すれば、
煩雑だったIRツールの整理ができると思います。

いたずらにツールが増えると、読者は混乱するだけ。
また、PULL型媒体であるWebサイトとちがい、PUSH型媒体の印刷物は、
積極的に情報を発信でき、ブランドを伝えやすいというメリットがあります。
そのため、Webサイトと印刷物のすみ分けには、十分に配慮する必要があります。

インタラクティブPDFへと進化

また、1つのツールで、印刷物としてもWebサイト上でも最適な状態で表現できる
「インタラクティブPDF」という新たなメディアにも注目が集まっています。

従来のPDFは、あくまで印刷物をWebサイト上で閲覧するためのもの。
一方、インタラクティブPDFは、従来のようにプリント出力も可能な上、
ユーザーが上部のナビゲーションボタンをクリックすれば、
自由自在に閲覧したいページへとジャンプすることができます。

さらに、別のWebページへのハイパーリンクを設置する、
クリックして動画を再生できるなど、まさしくインタラクティブな構造が魅力。
タブレットやスマホとも親和性が高く、統合報告書にも適しています。

ESGファクターを検討する

次に、自社の事業モデルに沿って、ESGファクターを整理します。例えば、
工場など施設をもつ企業ともたない企業では、そもそも伝えるべき内容は異なります。
事業継続リスクなどを検討し、コンテンツを選定してください。
目標となる指数や実績などは、できるだけ数値化して表示したいものです。

SDGsとの連携を探る

さらに、事業とSDGsの目標・ターゲットとの、連携を探ります。
これには、サステナビリティに関する国際基準の策定を使命とした非営利団体である、
GRI(Global Reporting Initiative)がつくった「SDGコンパス」が便利。
これは、その企業に相応しい、SDGsとの連携モデルの策定を支援するものです。

1. SDGsの理解 2. 優先課題の決定 3. 目標の設定 4. 経営への組み込み 5. 報告とコミュニケーション
と、5つのステップが提示されています。たとえば、2の「優先課題の決定」では、
自社の事業フローにSDGsを落とし込む手法が紹介されていて、
事業の各活動とSDGsの関連性を整理するのに、きっと役立つと思います。

さいごに、お願いがあります

他にも、制作する上で大切なポイントが、いくつかあります。

・ ESGファクターの具体例と整理の仕方
・ SDGコンパスによるビジネスモデルとSDGsの関係性
・ 掲載すべきコンテンツとさまざまな表現手法
・ 特集・レギュラーページなど構成の仕方
・ 失敗しない社内の制作体制づくり
・ 発注先パートナーのちがいや選び方 など

企業の広報・IR活動において、統合報告書はますます重要なツールになるはずです。
そこで、ノウハウの詰まった「初めての統合報告書」を無料でお届けいたします。

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